オレオレ詐欺

オレオレ詐欺はこれだけ世に知られているのに未だにその被害件数は下がらない。
そして手口が巧妙になって疑り深い人をも騙してしまうようである。

実は私の父の家にも過去にかかってきたらしい。
その時は、
父「ああ、太郎か?」
詐欺師「そう太郎」
父「うちには太郎はいませーん」
とユーモアたっぷりにやり返したそうだ。
ところが今回はそうはいかなかった。

詐欺師「ゴホッゴホッ、親父ー電話番号変わるぞー」
父「どないしたんや?風邪か?」
詐欺師「ちょっと体調崩しただけや。それより新しい番号言うからメモ取ってくれ」
父「ああわかった、ちょっと待て」
父「新型インフルエンザとは違うんか?番号は?」
詐欺師「ああたぶんちゃうと思うけどな、明日病院行ってくるわ。番号は090・・・」
父「繰り返すぞ、090・・・」
詐欺師「そうやそうや。携帯とか家の電話とか全部書き換えといてくれ。」
父「おお、わかった。ちゃんと病院行けよ。行ったら連絡せーよ。」
詐欺師「おー、そうするわ。ほんならな。」

これで会話は終わったそうだ。
以前と何が違うか?そう、名前を交わしていないのである。
実際名前を確認しなくても会話は成立するし、その状態で何回か言葉を交わせば親近感が沸く。
そのうちに息子だと思い込んでいるのである。
これはマーケティングの世界でもよく使われる手法で、商店員が声をかけちょっとした世間話をすれば、売り物の話に移ったときに成約率は倍以上に跳ね上がる。知らない人でも1分話せば知り合いの人となる心理だ。一旦知り合いになれば少々マイナス要素を露呈しても弁護する心情が働く。初歩的な販売手法である。
父はこれにまんまと引っかかった。
言葉通りに電話番号をすべて書き換えてしまった。
助かったのは私がその2日後TELを入れてその事が発覚したからだ。発覚した時も父はまだ信じていて「何を馬鹿な事を。それより風邪はもう治ったのか?」と言うくらいだった。
手口と現在の犯罪事情を説明しやっと気づいたが危ないところだった。

この詐欺師の手法は完全に成りすましてからお金を騙し取るタイプだ。複数回にわたって振りこまさせる。これはATMの一日の取り扱い金額が規制されたために講じた詐欺師の進化らしい。
おまけに息子が今話題の新型インフルエンザで政府レベルの隔離があると想像させれば大抵の親は冷静さを欠く事になる。
運良く私から父に連絡したから良かったもののそれがなければ騙されるだろう。

怖い怖い。近くにも犯罪の手は伸びているってわけだ。