イチョウの街路樹

イチョウの木はオスメスあって、市街地の街路樹はほぼ雄株で果実(ギンナン)は付けません。匂いもさることながら銀杏の実を踏んでしまったら交通トラブルを起こしかねない為、計画的に市街地や幹線道路並木には雄株しか植樹しないのだそうです。バイクでギンナン踏んだら結構危ない。

逆に東京の郊外には雌株のイチョウが多くあってこの季節は路面にギンナンが散らばり特有の匂いに包まれます。郊外研究施設や大学のキャンパスの銀杏並木はギンナン拾いに集まる地元住民をよく目にします。季節ものの高価なギンナンも郊外へ行けば無料で拾い放題です。

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神宮外苑銀杏並木:11月16日の夕方

ところでイチョウの木のオスメスを見分けるのは非常に難しく花がつくまでわからないそうです。そこで植樹する街路樹は苗から育てたイチョウを使うのではなく、成長した雄株の枝から挿し木や接ぎ木を行って育てたものを植樹しています。つまり街中のイチョウはほぼ全て同じ樹木から育ったクローンの可能性が高いです。

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日比谷公園:12月6日15時

都市樹木においてそういった木は多く、特に桜の代表ソメイヨシノも実はクローンです。ソメイヨシノは実を付けはしますがそれが育ちません。どこにもあるソメイヨシノは接ぎ木によって日本中に広められた木です。

これを聞いた時かなり衝撃的でした。DNAが全部一緒なんです。個体差がほぼ無い。なるほど一斉に咲いたり一斉に散るシステムが神秘ではなく理論的に構築されていたのかと、少し残念な気持ちになったのを覚えています。

イチョウは子孫を残せるのですべて同じDNAというわけではありません。

 

毎年、この季節になるとこんなことを思い出して、残念な気持ちを払拭するように、人のエゴとそれでも生き抜く美しいい木々の力に想いを馳せるのです。